クラスの雰囲気や生徒の人間関係が重くなる原因要素4つ
クラスの雰囲気や生徒の人間関係が重くなる原因要素は4つ。
特に大きく影響するのは 1 と 2 です。
- 教師と生徒の信頼関係の希薄さ
- 生徒同士の信頼関係の希薄さ
- わかる授業づくりの弱さ
- クラスの目標とルールの不明瞭さ
改善や克服の考え方
1 と 2 については、
見出し「人間関係が重い時に使える構成的グループエンカウンター エクササイズ4選中学生編」で詳しく紹介解説します。
3 と 4 については改善や克服点が、具体的な取り組みとして実施しやすいです。
しかし、1 と 2 (特に2)は心理的な要素があり、具体的な取り組みが難しいです。
なぜなら、その根底にあるのは
今の子どもは、話を聞くという経験の不足
話を聞いてもらった、嬉しい 安心感 という経験の不足
が起因しているからです。
そこで若手の先生にも取り組みやすく効果のあるのが、学級活動の時間での構成的グループエンカウンターの授業です。
自己理解、他者理解、信頼体験、など、人間関係に必要なスキルを育むことをエクササイズ化したのものだからです。
教師と生徒の信頼関係の希薄さ
問題が起きない学級作りをとばかりに生徒の意見を聞かずに強引に指導をいれる
生徒一人ひとりの話をよく聞いているつもりが、特定の生徒のみの話を聞いていたということ
が起因と考えられます。
この後に紹介する構成的グループエンカウンターのエクササイズを使うと、
一方的な指導に陥ることなく、
生徒一人一人の思いにも耳を傾けやすくなります。
リーダー(教師)の指示した課題をグループで行い、
そのときの気持ちや考えを気軽に話し合うというエンカウンター体験を徐々に深めていくと、
生徒にとりグループの中で思い考えが聞いてもらえる安心感とともに
今後、先生にも思いを気楽に伝えるきっかけ作りの場としても効果的です。
生徒同士の信頼関係の希薄さ
自分の思いが気楽に出せない、自分の一言を相手や周りの人がどう受け取るか不安な心情
クラス、友人間で何か問題が起きた時、解決ができる見通しが持てない不安な心情
が起因として考えられます。
ホンネを出し合い、時には表現しあう、
それを互いに認め合うのがエンカウンター体験です。
この体験は、
自分や他者への気づきを深めさせ、
また、自分の思いが受け取ってもらえることで
クラスの仲間と共に生活することへの安心感、
あわせて、なにか問題が生じた時もこの仲間なら解決できそうという展望をもたらします。
わかる授業づくりの弱さ
生徒の願いは「授業で力をつけたい」です。
学力は生徒の進路、未来に大きく影響しますから。
それに応える授業を教師は生徒の実態に応じて創造します。
具体的な授業づくり、授業研究としては
ユニバーサルデザインの視点に立った授業づくり、
協働的な学びの促進、
「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」の視点からの授業改善
といった具体的な課題が各学校で取り組まれていることと思います。
一層の推進、深化を図っていきましょう。
クラスの目標とルールの不明瞭さ
生徒の願いは先に書いた授業で力をつけたいです。
あわせて「仲間と楽しく学校での時間を送りたい」という願いもあります。
そのためにはクラスの目指すもの「目標」とそのためのルールが必要です。
クラスの雰囲気が重いと感じるとき
行動面では
休み時間、他の学級や廊下にいる(自分の学級内にいないことが多い)
学級内が極端にグループ化している
ということが見られるでしょう。
注意すべき点はその事象面のみの場当たりの対応策を講じないことです。
大事にすべきは、
何か問題が起きた時、
生徒自身が解決ができる見通しが持てる状態にすることです。
実は目標とルールはできているはずです。
問題はそれが機能していないことです。
機能させるためには
自分の思いが気楽に出せる、自分のひと言を相手や周りの人がきちんと聞いてくれるという思いや安心感が持てるクラスづくりがその第一歩です。
人間関係が重い時に使える構成的グループエンカウンター エクササイズ4選中学生編
図書文化
「エンカウンターで学級が変わる」全3集 から エクササイズを4つ取り上げ、
私がエクササイズをした時にアレンジした実践を紹介します。
本の表記に従い、以下のようにあらわします。
第1集→part1 第2集→part2 第3集→part3
- エクササイズ①わたしはだあれ? part2
- エクササイズ②校庭の生物 part3
- エクササイズ③月世界 part1
- エクササイズ④宝さがし part3
アイスブレイクとしての宿泊行事・バス内エクササイズ part2
※アイスブレイクとしてのエクササイズ
アイスブレイクとは参加者の緊張をほぐしたり、リラックスしたその場の空気を作るという意味があります。
その後に行うエクササイズの効果を高めるために重要な要素としてのエクササイズを示します。
宿泊行事・バス内エクササイズ part2
【ねらい・目的】
気軽なバスレクの形態をとりながら、
生徒の気持ちを和らげることで、
続いて行うエクササイズでの相互理解の一層の促進を図ります。
4人のグループで
それぞれが起承転結を受け持ち【リレーおとぎ話】を
発表するというレクリエーションです。
この資料では60分となっていますが、
10分程度のアイスブレイクとします。
このアイスブレイクの後に
次に紹介するエクササイズ①または②をするので、
6人のグループなら、じゃんけんで4名を選び、
おとぎ話を作りました。
ただし、
このレクリエーションが全くの初めてという場合は、
内容を丁寧に説明し、グループの一人一人が
やることを確認して、
発表を通してクラスとして盛り上がるよう
グループで考える時間も長めに取り、
50分を割り振ることがいいです。
参考資料の写真について
参考資料として、写真を載せていますが、
解像度の関係で
このまま生徒配布資料にするには不向きです。
学校においてある場合もあります。
ない場合は、購入してください。
中古本で安く購入も可能です。
レクリエーションとエンカウンターの違い
体育館や室外でのビーチボールバレーといったレクリエーション、
室内レクリエーションの「ハンカチ落としゲーム」「震源地は誰だ」「フルーツバスケット」
楽しい時間を過ごすことができます。
でも、エンカウンターと大きく異なる点が一つあります。
上記のレクリエーションは夢中にはなるけど、
話を聞いてもらったことで、
嬉しい → 安心 という体験面が弱く、
今回のようなクラスの雰囲気の改善という点では、
期待したほどクラスの雰囲気や生徒の人間関係の改善にはつながらないです。
生徒に抵抗感なく用意するのが教師の仕事です。
その点で効果のあるのが、学級活動の時間でのエンカウンター授業です。
徐々にエンカウンター体験を深めていくこともポイントです。
エンカウンターは「それぞれの気持ちを分かち合う」シェアリングを重要視しますが、学級の雰囲気が重い時は軽く流す、時にははぶくのも一つの方法です。
人間関係が重い時、私は、
エンカウンターのテキスト(参考資料)に書かれているワークシートを用いた振り返りシェアリングの行程
『そのときの気持ちを率直に語り合うこと「心と心のキャッチボール」』にこだわりませんでしした。
気楽に時には無意識のうちに
ホンネを出し合い、
それを互いにちゃんと聞くという体験だけ積み重ねていっても大丈夫です。
エクササイズにもよりますが、
教師がエンカウンターの指導の仕方を熟読しておけば、
シェアリングの行程がなくても
話を聞いてもらった、→ 安心感
自分も相手の話に耳を傾けた
という体験で
話を聞くという経験の不足
話を聞いてもらった、嬉しい 安心感 という経験の不足
の回復改善に迫っていけます。
次に紹介する4つのエクササイズは気楽に自分の意見を出しつつ、
人の意見考えも聞き、
また、③④はグループとしても一つの方向が示せるエクササイズです。
エクササイズ①わたしはだあれ? part2
【ねらい・目的】
目あての職業や興味のある職業に関する知識をふくらませる。
同時に、
その職業を目あてにしている自分、
興味を持っている自分はどんな自分であるかを知る。
となっていますが、
私は、
単純に、
【クイズ、私はだあれ?】
としてエクササイズを行いました。
質問は、一人4回となっていますが、
6人グループなら一人1回とし、
一巡したところでどうしてももう一つ聞きたいことがある人は質問しても良いとしました。
前日の帰りのショートホームルームで
いつもしているその日の振り返り反省など省き
明日のエクササイズの予告をかね、
私の中学時代の夢をクイズとして出しました。
「先生が中学生だった時、10年後についていたかった職業は何でしょうか」
答えは「パイロット」です。
この時は代表で班長に質問をしてもらいました。
その後、他に聞きたい人いる?と聞き、
手を挙げた数名に質問をしてもらいました。
教師:「先生がつきたかった職業がわかった人」
生徒数名:「はい」「はい」
数名を指名ました。
教師:「答え、正解は、明日の学級活動の最初に言います」
教師:
「みんなも『10年後についていたい職業を、夢であってもいいから考えてくること。また、質問に答えられるように心づもりをしてくること』これ宿題です」
と連絡しました。
ちょっと延長の帰りのショートホームルームとなりました。
生徒が質問する場面は、
重要な指導ポイントです。
教師はクラス内のグループの様子を注意深く観察し、
アドバイスが必要な生徒へ助言をします。
そのため緊張感をもってグループ間を回ります。
アドバイスの仕方は下の写真の「B」を参考にします。
簡単にメモを残せればいいので、
質問されたこと、答えたこと 2つの枠作ったワークシートとしました。
授業の締めくくりですが、
教師がグループ間を回っていて、なるほどなという質問と回答があったものを紹介して、
「ほかに、先生が気がつかなかったけど、自分のグループでは、こんななるほどなと言う質問と回答があったグループある?」
あれば、発表してもらうし、なければ、
もう一つ二つ教師がなるほどなという質問と回答を紹介して終わりました。
エクササイズ②校庭の生物 part3
【ねらい・目的】
校庭の小動物に目を向け、限られた自然での中でも「食物連鎖」によってつながりを持って生きていることを知る。生活の場も自然の一部であることに気づき、身近な自然と積極的に関わろうとする心情を育てる。
ですが、
単純に
【生き物ひとつ、植物ひとつ、そのつながりは?】
として
気楽に自分の意見や考えを出し、交流するようにしました。
①同様に前日の帰りのショートホームルームで
いつもしているその日の振り返りなど省き
明日のエクササイズの予告をします。
教師: 「野生の植物一つ、動物一つを明日渡す紙に書けるように考えてきなさい」
教師: 「それと、その植物と動物にはどんなつながりがある?って聞かれたら、答えられるようにしておいてね。」
教師: 「例えば、バッタとキャベツ」
生徒: 「先生!キャベツは野生の植物ではないです」
教師: 「するどいね、よく話をきいていました!えらい!。
バッタとクローバーです!」
生徒: 「どんなつながりですか?」
教師: 「クローバーはバッタに食べられる」
生徒: 「本当ですか?」
教師: 「調べてきてみて」
この時は、時間ピッタリの帰りのショートホームルームとなりました。
わからない、調べてこなかった生徒もいますので、
理科の資料集をグループ分用意しておきました。
複数の生徒が書いてきた生き物をキー生物とし、
模造紙の中心に貼ります。
何といっても、
理科の授業でもテストでもないですから。
気楽に紙に書き、
思い思いに矢印をひき、
つながりを書いたらいいです。
グループごとに発表をするとき、
つながりで質問したいこと疑問に思うことは後で交流するので、
発表を聞きている時はグループごとにその確認のための相談はしてよいとしました。
この資料の指導内容に沿ったエンカウンターの授業なら、
以下のワークシートが必要ですが、
今回のような気軽に意見を出し合うことを目的とした場合は、
使用しなくていいと考え、
また、アイスブレイクに時間を使ったこともあるので、
準備しませんでした。
授業の締めくくりですが、
①と同様に、教師がグループ間を回っていて、なるほどなという植物と動物のつながりが書かれたものを紹介して、
「ほかに、先生が気がつかなかったけど、自分のグループでは、こんななるほどなというつながりが書けていたグループある?」
あれば、発表してもらいます。
もし、なければ、
もう一つ二つ教師がなるほどなというつながりを紹介して終わりました。
エクササイズ③月世界 part1
【ねらい・目的】
個人の決定から全員の合意によるグループ決定を通して、グループが意思決定をしていくときに生じる様々なことに気づく。
ですが、
単純に
【サバイバル 月面にて】
としてエクササイズを行いました。
気楽に意見考えを出し合う、
人の意見を考えを聞く、
グループとして意見を考えをまとめるエクササイズにしました。
下の資料の内容に
「グループでの順位決めにおいて安易な妥協はしない」と書かれていますが、
安易な妥協があっていいです。
グループ間を回っている時、
和やかに安易な妥協をしていたら
「それもありだね」って
その後の話し合いが和やかに進ようにしました。
ただ、
「最後にクラス内で交流をし、他の班からの質問に答えてもらうので、一応の根拠が話せないと班長が困るので、その根拠は考えてね。」
と指示しました。
残り20分になったら、
黒板に貼っておいて模造紙に各グループの順位を書き込んでもらいました。
「5分間ですが、他のグループの順位について2つ質問したいことをグループで相談してください。」
と指示しました。
5分後に教師の司会進行で質疑応答をするようにしました。
マッチやナイロンのロープといった月面でどう使うか、
突っ込みができる品物もありますので、
課題となる順位決めにおいて
その品物の活用方法に
グループの意見、知恵、時には思わぬ工夫法に意見が集中したところもありました。
それもグループの個性ですから、最後のまとめで紹介させました。
授業の締めくくり
本来は、マッチやナイロンのロープの使い方に関し、ユニークな使い方を相談していたグループの紹介をするつもりでした。
しかし、他のグループの順位のつけ方に関しての質問とその回答で盛りあがりました。
そこで、
「目からうろこ賞をあげるとしたら、どのグループのどんな品物の順位ですか。2分で、決めましょう。」と指示し、
その、各グループの発表で終わりました。
エクササイズ④宝さがし part3
【ねらい・目的】
課題解決の過程における、自分や相手の言動・感情を察知する。
またヒントの出しあいを介して、クラスメイトへの好意の念を育てる。
このエクササイズに関しては、
下の「アレンジのしかた」の通り、
グループの人数に応じてヒントカードを準備し、
この「内容」とおりに行いました。
多くのエクササイズは繰り返して行うことができますが、
このエクササイズに関しては、
過去にやったことがある場合、
使えないことがあります。
グループの中の1,2名程度が経験者なら実施可能です。
※複数学級で、前の学年の時に(クラス替えの前に)やっていたといった場合
前年のことをしっかり確認しておきましょう。
ヒントカードを口頭で伝えあう場面はこのエクササイズでのルールのポイントの一つです。
下の資料を参考に教師の対応を考えておきます。
未完成のグループがあった場合の対応も、
下の資料から教師の対応を確認しておきましょう。
ルールに関して、
他の人のカードを見る
自分のカードを見せる
情報を書き出して表にまとめる
は禁止行為ですが、
禁止を強調するのではなく
この3つのことをしてしまうと答えが出ても、面白くなくなるよといった和やかな指示、説明をしました。
アレンジのしかたに書かれているように、
グループの人数に応じてヒントカードを作りかえます。
その時のクラスの雰囲気、状況に応じて、
振り返りの項目は調整をします。
クラスの雰囲気がかなり重い時は、
振り返り用紙の8項目の中の
2 自分のヒントや意見を、相手はよく聞いてくれましたか を
よく聞いてもらった時、どんな気持ちでしたか?
または、聞いてもらえなかった時はどんな気持ちでしたか?
と修正しました。
5 友達の新しい面が発見できましたか?
それはどんなところでしたか?
6 自分の今まで気づかなかった面を発見できましたか?
この3項目だけを振り返り(シェアリング)しました。
授業の締めくくり
正解が出せたか、ではなく、意見が出し合えていたグループの様子について感想を述べました。
また、あるグループ内では、A君の言葉が正解を見つけるきっかけとなっていましたから、
「〇グループさん、だれのどの言葉が、正解きっかけになったの?」と質問しました。
A君は、普段、縁の下の力持ち的な仕事を、クラスでよくしていてくれる生徒でした。
終わりに
シェアリングがエンカウンターのポイントではあるのですが、
クラスの雰囲気、生徒の人間関係の状況によっては、
シェアリングをあえて行わなかった場合も含め、
紹介しました。
しかし、徐々にクラスの雰囲気、生徒の人間関係の状況に改善が見られました。
シェアリング以外の部分で、シェアリングの要素を盛り込んでいたといえば、そういえると思います。
を熟読することが大事です。
生徒からは、体を動かすレクリエーションの要望も高いです。
時にはその要望に応じることもクラスの雰囲気改善につながります。
2つの視点は持っておいたら良いです。
① 単純に体を動かす1時間とするにしても、目的ねらいを明らかにする
生徒にとっては、単純に体を動かす学級活動の1時間があってもいいですが、教師としては、
② エンカウンターはアレンジが容易
見出し「人間関係が重い時に使える構成的グループエンカウンター エクササイズ5選中学生編」で紹介したように、
学級の状態に応じ
かなり弾力的にアレンジが出来ます。
学級づくりの強いアイテムとして使えます。