中学3年の学級進路指導は高校受験面接対策に時間を割くべき
受験期の生徒の心のケアは教師の大事な仕事です。
中学3年11月になると高校受験の面接練習の準備の時期になります。
ここで注意をしないといけないことがあります。
生徒同士が面接練習をするという学級進路指導を実践してみた
そこで私が実践したことは生徒同士が面接練習をするという学級進路指導です。
クラスメイト全員で高校受験を乗り切ろうという意識を作ることができ、受験前の生徒の心のケアができるからです。
生徒同士が面接練習をするねらいとは
なぜみんなで乗り切ろうという意識を作ることができるかと言うと
生徒同士が面接練習をすることで、
不安な気持はだれもが持っていることを知ることができます。
勉強面でわからないところを教えてほしいといった具体的にクラスメイトが望んでいることがわかり、
放課後の教えあい学習といった生徒同士の支えあいが実行しやすくなるからです。
面接練習時のポイントとなる質問内容例
生徒同士が面接練習をするとき、その質問内容から、2つのことを知り合う機会となるように質問内容を工夫します。
- 今のお互いの気持ちを知り合う
- どのようなことで支えあえるか知り合う
具体的な例で解説します。
・中学校生活で嬉しかったことはどんなことですか?
・中学校生活で不安だったことはどんなことですか?
・中学校生活で困ったことはどんなことですか?
特に最後の2つの質問は、自然に今のお互いの気持ちを知り合う機会となります。
「中学校での勉強の取り組みで効果があったこと」などに関して、
面接練習用に質問を加えておきます。
・あなたにとってはどうでしたか?
・勉強でわからないところはどうしていますか?
・何か学級で取り組みを希望することがありますか?
こういう質問を加えることで、今クラスメイトはどんなことを望んでいて、どんなことで支えあえるか知る機会にできます。
実際の面接練習例
3.の面接官は教師
6.の面接官は生徒
面接会場 小会議室
4.の振り返りでアドバイスができるように気が付いたことがメモできる準備をしておく
・入室指示
・質問(2問でいいです)
※2問のうち1問は上記の面接練習時のポイントとなる質問内容例
・退出
面接を受けた生徒を小会議室内に呼ぶ
見学をしていた生徒に一人につきひとつアドバイスを発表させる(感想ではない)
アドバイスを受ける生徒はメモ帳に記入しながら聞く
ただし、質問内容は全員に異なることを聞く
生徒が見落としていたこと、気づいていなかったことを指導・アドバイスする。
質問は1問、出来るだけ今日の練習で出されていない質問内容を出すように指示する。
生徒が見落としていたこと、気づいていなかったことを指導・アドバイスする。
最後に
「今日の面接練習で上手くできなかった、面接本番向けて不安を感じる生徒は、申し出れば、後日、面接練習をします」
と伝え終了。
受験時に面接で聞かれる質問内容は他にたくさんありますが、
今回指導した面接練習の質問内容からは、
3年生後半の受験が近づき不安や息苦しい時期に
クラスメイトがどんなことを望んでいて、どんなことで支えあえるかわかります。
教員歴35年が実践したクラスメイト全員で乗り切る高校受験面接対策3つのポイント
ポイントは3つです
② 班単位での面接練習時に、どの生徒にどの質問をするか考えておく
③ 受験期を乗り切るために今支えあえることの具体化をしていく
学級進路指導としての面接練習の指導の中で、ポイントを解説します。
面接練習の準備段階で面接質問内容に工夫をしておく
学級活動の時間(1時間)を活用して、生徒同士が面接練習するための指導をします。
その時、面接質問内容に、学級でする放課後の教えあい学習など今後の取り組みにつながる返答が出てくるような質問内容を工夫し加えておきます。
まず、実際に受験時に質問が予想される質問内容を示します。
その後、「面接練習時の質問内容例」にも書いた質問を示します。
・あなたにとってはどうでしたか?
・勉強でわからないところはどうしていますか?
・何か学級で取り組みを希望することがありますか?
今クラスメイトがどんなことを望んでいて、どんなことで支えあえるか知るきっかけにできる質問です。
と指示しますが、
友達同士で、どんな返答がいいか考えてもいいよ
とつけ加えておくと、
返答を考えることが苦手な生徒も友達に聞くことで負担感を減らし、よい返答を作ることができます。
放課後を使って班単位で面接練習をする、その時にどの生徒にどの質問をするか考えておく
放課後、班単位で面接練習するとき2つのことに注意します。
② 面接の順番を工夫し、今後の支え合いの取り組みに関し具体的な返答をしてくれる生徒へ教師が質問する
① 2問のうち1問は「面接練習時の質問内容例」に示した質問をします。
そのため前もって生徒には質問内容は全員に異なることを聞くと指示しておきます。
面接練習時、見学をしていた生徒が面接を受けていた生徒にアドバイスを言う時間や生徒同士が面接練習をする時間をしっかり確保する方が、練習効果を高めます。
②何か学級で取り組みを希望することがありますか?という質問に対して「家などで一人でテスト勉強するより、学校で放課後にみんなで勉強するとわからないところがあれば聞くことができる」という返答をしそうな生徒を最初に面接練習します。
その後、勉強でわからないところはどうしていますか?という質問をしたら、「放課後でもいいので、わからないところ気教えてもらう時間があると嬉しい」と言った返答をしそうな生徒の面接練習というように順番を決めておきます。
面接練習でわかった、受験期を乗り切るために今支えあえることの具体化をしていく
面接で返答として出てきた生徒の望んでいることに合わせて学級の取り組みを考え具体化します。
例ですが
・学習面でわからないことを誰かに教えてほしい
放課後学習会をしている学校が多いでしょう
班長会をもち、サポートの仕方を打ち合わせたうえで、
実態に応じてぺアの設定しておき、ペア学習を実施します
・進路希望で、親と意見が異なり困っていると返答を言った生徒があれば、家庭訪問の実施します
・個別に面接指導が必要な生徒または希望を申し出た生徒へは、再度の面接練習をします
※生徒同士で練習をするので申し出をする生徒は少ないです。
実際に35年間実践してみた結果と感想
休み時間に生徒同士で面接練習をする様子をよく目にしました。
教師側としては経験から、受験期の生徒特有の不安やプレッシャーがあることはわかっていますが、それを口にしてくれることで関りがしやすくなります。
生徒にとって一番不安を和らげたのは、教師の一言ではなく生徒同士の面接練習の時にクラスメイトから聞くことができた生徒の返答だったようです。
終わりに
もし、若手の先生がこの記事を読まれていましたら、
保護者向けに書いた記事ですが、
中学教師歴35年が教えるやる気のない中学生対策!3つの心理的要素から理解する接し方のコツ3選
見出し「進路(将来)への不安を抱えている子どもへの効果的な接し方とコツ」
をご一読ください。
このような経験が、
学級進路指導で生徒同士が面接練習
クラスメイト全員で乗り切る高校受験
を取り組むきっかけとなっています。
また、面接質問内容「中学校での勉強の取り組みで効果があったこと」
として「予想問題作り」ということを書きましたが、私の実践として、
記事「若手教員のための中学学級経営!教員歴35年が実践した勉強が苦手な子も巻き込んで学力アップがはかれる指導のステップ」にまとめています。
関心を持たれましたら、ご一読ください。