小規模中学校教員のための少人数校の強みが活かせる修学旅行プランの企画と実践解説

少人数校の強みが活かせる修学旅行プラン 教員歴35年のアドバイス

少人数校の強みが活かせる修学旅行プランの企画とは

少人数校の強みを活かすとは

20人または7人(程度)を超すと体験ができない企画を修学旅行プラン(行程)に取り入れることです。

少人数校は生徒数の少なさから集団活動や体験に弱さがあります。
普段は、全校または学年をまたいだ活動といった体験の場を設けることでその弱さの改善に努めます。
しかし、修学旅行では学年をまたぐ活動はできませんから、
20人以上の人数の修学旅行だと体験できない企画を取り入れることが改善を図ることになるからです。

企画を取り入れる際に、
旅行会社が示すモデルプラン、
近隣の中学校が実施したプラン、
勤務する中学校がこれまで実施したプラン
について参考にはするが、縛られないことが大事です。
20人までの修学旅行に関するプランは勤務校の過去の資料以外ではほぼ無いからです。

少人数校の強みを活かした実践を
2つのケースに区分して紹介します。    

中学生20人までの強みが活かせるプラン    
中学生7人までの強みが活かせるプラン

小規模校・・・通常、全学年が8学級以下の中学校と位置付けられますが、修学旅行に行く学年が複数の学級編成でないこととします。
少人数校・・・本来正確な定義がされていない言葉です。
この記事では生徒数が20人までを表すために使っています。

①は自分が実際に企画し生徒を2回引率。
②は1回は自分が企画し生徒を引率、1回は教務の時に3年担任にアドバイスをし、実践。

上記以外に7回ほど、70人~200人規模の修学旅行の引率経験があります。
全て東京方面でしたので、東京都内の施設利用をもとにした解説になります。

駅構内

中学生20人までの強みが活かせるプラン

20人という少人数が活かせるプラン(企画)は3つ 

テレビの公開番組への参加 企画
予約が必要な施設へのグループに分かれての体験や訪問 企画
昼食を兼ねた大学構内見学 企画

これから解説をしていきますが、施設側の受け入れの関係で20人を超すと実施が難しくなる企画です。

雷門前

テレビの公開番組への参加 企画

 私が参加した公開番組は

TBSテレビ公開番組 さんまのSUPERからくりTV

2014年に終了していますが、
2008年に生徒引率をし、参加観覧しました。

この実践から応募の方法(ポイント)をまとめると以下のようになります。

・申し込みをする番組の絞り込みの仕方

ネットでキーワードを 公開番組参加者募集 観覧者募集 として検索
表示される申し込み要領から候補を縛りこむ 
修学旅行実施日(観覧可能日)に公開録画がありそうな番組
(公開録画のパターンは隔週の〇曜日とか毎週〇曜日の○○時~)

【絞り込みの仕方のサンプル】左:公開番組参加者募集 右:観覧者募集 で検索した結果(2024.03)

観覧募集の検索結果

TBSテレビ「観覧募集」でなら、該当する番組かどうかの判断(絞り込み)は以下のようにします。

しぼり込みの手順

 

・申し込みの仕方

修学旅行の4ヶ月前、絞り込んだテレビ局該当番組あてに直談判のような内容(依頼文)を往復はがきで発送。
複数の番組に発送。

観覧依頼申し込み(往復はがき)のサンプルです。
◎◎テレビ〇〇(番組名)ご担当者様
〇〇(番組名)公開録画観覧の申し込みについて

突然にお手紙をいたします失礼をお許しください。
□□市立◇◇中学校教諭・・と申します。
…年〇月〇日~〇日東京へ修学旅行を予定しています。
その折、貴〇〇(番組名)公開録画観覧が出来きないものかと連絡をいたしました。
私の勤務しています中学校は全校生徒数〇〇人、今回の修学旅行生徒数◇◇人という小規模な学校です。
少人数の修学旅行ゆえに生徒には思い出に残る、深い印象深い体験をさせたいと考え、厚かましいお願いを承知で手紙をいたしました。
2週間前にネットのフォームで申し込むといった正規の手続きではありませんが修学旅行という特殊性をご理解いただき、ご検討いただければ幸いです。

□□市立◇◇中学校教諭・・

手書きがテレビ局の担当者の目にとまりやすいです。
丁寧な字に自信がなければ、別の先生に書いてもらいましょう。

通常の申し込みは、ネットのフォームから、または往復はがきとなっていることが多いです。
ただし、どの番組も2週間前くらいの申し込み、18歳以上、〇名まで、となっていて、修学旅行の条件にあてはまるものはないはずなので、このような申し込みをします。

・往復はがきに記載すべきこと

「少人数の修学旅行ゆえに生徒には思い出に残る、深い印象深い体験をさせたい」という一文はインパクトを持つようです。
実際、「からくりテレビ」観覧にあたっては、
通常とは異なる3ヶ月前からの観覧の手続き受付をしてもらえました。
当日もTBSテレビ局内の喫茶室で待ち時間を過ごし、
記念品のほかに発売直後のアンジェラ・アキ 手紙 ~拝啓 十五の君へ~ CDもいただき、
学校へですが、さんまさんの色紙までいただきました。

・保護者へ了解を取る

観覧可能の返事をもらい、正式申し込みにあたっては、公開番組ですから保護者に「番組放映中に生徒の顔が映ることもある」に関して、伺いは取りました。
個人情報に過敏な保護者もありましたが、誰一人として番組観覧参加に反対される保護者はいませんでした。

・校内での修学旅行の要綱の検討時期

上記のことから、校内では5ヶ月前には修学旅行の要綱の検討が必要になる。

さんまのsuperからくりTV

この時の観覧時間は夜でホテルに戻ったのは10時近かったです。20名迄だからできたといえます。

 

 

 

予約が必要な施設へのグループに分かれての体験や訪問 企画 

修学旅行引率時、班単位(少人数グループ)で訪問した施設

・ユニセフハウス

・最高裁判所(学校見学コース)

・国際協力機構(JICA)
社会科見学・修学旅行、その他グループで訪問する(団体訪問)

・ユネスコ(UNESCO)
※現在は、事務局内に受入れに必要な十分なスペースが無いため、修学旅行生への説明会は実施されていない。

すべて予約が必要、
施設の担当者へ質問を準備するといった事前の学習をして訪問するので質の高い体験になります。
ここで紹介した施設は、旅行会社から渡される資料に記載されています。

予約にあたってポイントは以下のようになります。

・予約時期

5月修学旅行の場合は申し込みが多いようです。
12月中の予約だと時間も含め希望通りに予約が取れました。
1月になると時間によっては予約が入っているということがありました。
2月になると予約を取るのはほぼ無理といった感じでした。

・校内での修学旅行の要綱の検討時期

6ヶ月前には修学旅行の要綱の検討が必要になる。

訪問後、生徒とともに以下のようなまとめを作りました

ユニセフハウス訪問の記録

ユニセフハウス内部

ユニセフハウス内部

 

昼食を兼ねた大学構内見学 企画

当時も今もおすすめは 早稲田大学キャンパスツアー

学生の案内で、大学構内を見学します。
私は2回ツアーに参加しましたが、そのうちの1回は引率の学校長が早稲田大学のOBでした。
その時は学生よりも学校長が当時を懐かしみながら大学構内を案内されました。
昼食を学食で取るような行程が作れるといいです。
種類も豊富で量もたっぷりで生徒には大変好評でした。

早稲田大学キャンパスツアー

早稲田大学学生食堂

メニューも豊富で、ボリュームたっぷり、生徒に好評です

中学生7人までの強みが活かせるプラン

7人という少人数が活かせるプラン(企画)は2つ 
少なければ少ないほど実現の可能性が高まる企画です。

国会議事堂見学 企画
大学構内見学もう一つの企画

通常の国会議事堂見学は何人規模でもできます。
条件がそろった時にできる見学について説明します。
大学構内見学も同じです。

条件をそろえる手間がかかります。
修学旅行引率を何回か経験するとすごい企画であることがわかるのですが、初めて体験する生徒はそのすごさはわからないです。

国会議事堂見学終盤

国会議事堂見学 企画

・国会議員秘書パスを使った見学(正式な名称はわかりません)
国会見学は、地元の国会議員事務所を通して見学申し込みをします。
見学申し込みの様式に関しては旅行会社の指示に従います。

ポイント

申し込みの時に「少人数なので国会議員〇〇先生の議員秘書さんに国会議事堂内を案内をしてもらえないか」と依頼をします。

・修学旅行時に秘書さんが時間的に余裕がある
・事務所担当者の人が指定する時間に国会へ行くことができる
など条件がそろうと通常の見学とは異なる秘書さんの案内での見学が実現します。

依頼をする議員さんが〇〇大臣、◇◇長官といった肩書があると秘書さんも仕事が忙しく、
去年は案内できたが今年は無理と断られる、
また、その逆もあります。

後援会の役員をしている人を通しての見学依頼ができると実現の可能性が高くなります。

通常の国会見学コース

通常の見学コースだとこの写真のような感じになります

大学構内見学もう一つの企画

大学関係者に大学構内を案内してもらう

少人数で大学関係者に案内をしてもらうことのメリットは、授業中の教室にも入り授業風景の見学ができるということ。

上智大学構内を見学しました

先に、学校長が早稲田大学のOBで早稲田大学構内を歩いたと書きましたが、
私の妻の友人が上智大学で仕事をしていました。
大学構内見学をしたい連絡をとりましたら、快く引き受けてもらえました。

一番印象的だったことは、図書館の中の見学させてもらえたことです。
生徒は大学の図書館の役割が十分わかっていないですが、セキュリティの厳しさが授業中の教室以上のものという体験は貴重なものだったと思います。
部外者は入室できない学生食堂での昼食もできました。

OBではなく、現役の大学関係者に案内をしてもらえると通常できない見学や体験ができます。

上智大学校舎

修学旅行の企画や実践のポイントとなること

修学旅行のプランを準備するにあたり、
旅行会社や学校の過去の資料などに書かれることがないポイントを記しておきます。

・ 施設の見学時間によっては興味深い体験も

羽田の機体整備工場を見学した時です。
ちょうど昼休みの時間でした。
整備作業をされている様子を見学することはできませんでしたが、
整備作業中ではないので見学コースを外れ
機体の真下まで連れて行ってもらい
機体を見上げるようにして説明を受けることができました。

通常の見学コースだとこのような眺め

見学コースからの眺め

昼休みだと機体の真下まで近寄れます

機体を見上げるように見学


・ 食事の満足度は思い出深い修学旅行の最高の演出

和食中華洋食のバイキング形式で食べられるところが当たりはずれがないですが、
少人数なら可能ということで、
生パスタが人気のイタリアンレストラン、
創作料理が人気の居酒屋、
に行ったこともあります。
旅行会社の担当者との打ち合わせ次第です。

・ 宿泊ホテルを旅行会社まかせにしない

20人までということは、移動が貸し切りバスではなく電車になります。
最寄りの駅までの徒歩に要する時間は、
体力的なことも含め、行動時間に大きく影響します。
移動手段として貸し切りバスを前提としたホテルを斡旋されることがあるので、ホテル名だけでなくホテルの立地場所の確認が必要です。
また、駅から徒歩5分でも
池袋駅近くのホテルと上野駅近くのホテルでは
目的地までの移動の便利さ(時間)が違います

・東京都内を移動する場合の使用する電車や所要時間も旅行会社任せにしない

見学先が決まると旅行会社は詳細な行程表を作成しますが、
効率の悪い経路や間違った時間が行程表に記されていることがあります。
事例が少ないからと思います。
自分で地図を見てチェックをすることが大事です。

・ 生徒自身がプロデュースした修学旅行と思わせるための工夫を

この記事で紹介した企画を取り入れるとほとんどプラン(行程)が決まります。
生徒が主体的に取り組んだと思わせるためには、
すでに決定している内容であったとしても、
生徒に以下のような活動をさせることです。

・ 旅行会社にホテル場所に関して、希望条件を生徒に書かせる。
・ 見学施設への申込書を生徒に書かせる。
・ 修学旅行後にお礼の文を書かせる。

また、地図で移動手段をしっかり確認させます。
修学旅行中、目的地まで行くとき、すべて生徒が先頭になり歩きます。
予約した施設訪問に間に合いそうにないときだけ、教師が指示をします。
あとは乗り物を間違えても道順を間違えても教師は後ろからついていくだけ、
安全面の確保のみ行います。

10年以上前の経験をもとに記事を書いていますが、
今でも十分共通するはずです。
また、上記のことは、
20人以上の修学旅行でも共通することです。

生徒の後から歩きます

おわりに

生徒5人くらいの修学旅行であっても必ず旅行会社に申し込みを

3年生5人を引率する修学旅行出発2日前に病気で修学旅行欠席という保護者からの連絡がありました。
迷いに迷い、学校長に相談。
承諾を得て、旅行会社に旅行日時の変更を問い合わせました。
200人規模の修学旅行の時から面識のある担当者ということもあり、
キャンセル料が発生することもなく、
1ヶ月後に5人全員で修学旅行が実施できました。

少人数の時は、旅行会社へ依頼すると手数料が割高になります。
生徒の家庭への負担減を目的として、学校の事務職と担任でチケットなど予約を取るということがあります。
しかし、上記のような事例もあるということを、教訓として紹介しておきます。
参考になさってください。

次の目的地への移動中

この記事で紹介した企画は
修学旅行引率を何回か経験した教師にとっては、
貴重な体験とわかるのですが、
今回が最初で最後という生徒にとっては比較ができない体験です。

生徒はそのありがたみをどこまで感じ取れるかはわかりませんが、
少人数校の教師としては
出来る限りの体験の場を生徒に企画できたと思っています。